トラジャ レモとロンダでお墓見学(人骨あり・閲覧注意)
独特な埋葬を見学
トラジャに暮らす人々は、この地域で信仰されるアニミズム(精霊信仰)に基づいた独特な方法で故人を埋葬する。
フィリピンのサガダでは棺桶を崖に吊るすハンギング・コフィン(懸棺)を見学したが、トラジャではどうなのか。
お墓を見学できることで有名なレモとロンダに行ってきた。
レモのお墓
レモに到着して少し進むと岩壁が現れた。
近づいてみるとおそらく葬儀の時に使われたであろうグッズが並べられていた。
トラジャはアニミズムだけでなく、インドネシアでは珍しくキリスト教も信仰されているため十字架も置かれていた。
上を見上げてみると、岩壁が四角く切り取られており、その中には個人を模った人形が多数安置されていた。
これらの人形はタウタウ人形と呼ばれる伝統的なモノだ。
遠くから見ると『本物のミイラじゃないか!?』と驚いてしまったほど精巧な作りをしているものもたくさんある。
古いものは劣化して肌の塗料が剥げ落ちているものが多いが、その分赤や黄色などの鮮やかな服の色が目立ち、そのコントラストにドキリとさせられた。
さらに奥へ進むと棺を納めるためだろうか、正方形に穴があけられた岩やサガダと同じような縣棺があった。
トラジャ族の風習で、空に近いほど神聖なのだそうだ。
ロンダの『シェア棺桶』
ロンダもお墓で有名な場所で、洞窟の中に安置された棺も見学することができる。
到着するとタウタウ人形が早速お出迎えしてくれた。
ロンダはレモに比べると棺の多さに驚かされた。
ほとんどが岩に固定されており、その上に頭蓋骨がずらりと並べられていてギョッとさせられた。
しかし驚いたのは初めだけで、しばらく見学していると頭蓋骨が整列している様子があたりまえのように感じられてくるから不思議だ。
よくよく観察してみると、棺桶の数に比べて頭蓋骨の数が圧倒的に多い。
私たちがイメージするような『一人に1つの棺』ではなく、トラジャでは一つの棺に複数人を埋葬する『シェア棺桶』が主流なのだろうか?
ちなみに棺桶の形はトンコナンのような船の形をしたものや、水牛を模ったものがある。
水牛は死者を天国まで運んでくれると信じられている。
棺の隙間から頭蓋骨がひょっこり顔を覗かせている。
必ずしもすべての頭蓋骨を並べるわけではないようだ。
かなり古い棺桶は一部が腐敗して中から人骨があふれているものがあった。
やはり数人の骨を一つの棺に納めているのだろう。
『シェア』している分、溢れだした人骨が尋常な量ではない。
洞窟の中にもいくつかの棺と人骨が安置されていた。
薄暗く静かな洞窟内に人骨が並ぶ様は、屋外のものとはまた違った印象だ。
しかし…どうしても散乱している人骨が気になってしまう。
理由はわからないが、そもそも棺桶にすら入っていないものもある。
部外者があれこれ思うのは筋が違うのはわかっているしこの地域の風習なのだろうが、せっかくシェア棺桶があるのだから納めてあげればいいのになあと思わざるを得なかった。